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【6月度マイベストTV賞】-「GALAC」2020年10月号

放送批評懇談会の正会員とGメンバーが投票。
得票数の 「ベスト3」 が月間ノミネート番組になり、
年間のベスト1がマイベストTV賞に輝く!

■選出された番組
「世界は3で出来ている」(フジテレビ)
●新型コロナ禍で撮影の制約を逆手にとり、何の違和感もなく凝った映像に仕上げた技術力。現代をスパッと切り取って繊細かつテンポよく見る者の心に迫る秀逸な脚本。何より一人三役を見事に演じ分けた林遣都の演技力の高さ。テレビドラマの可能性を大いに感じさせて余りある作品でした。

金曜ドラマ「MIU404」(TBSテレビ)
●テーマがどれも現代の世相を表しており、絶望のなかにも希望がもてる話になっていることに感銘を受ける。ユーモアたっぷりマイペースの綾野剛と、秘密を抱えたクールな星野源の関係性もバランスが良い。米津玄師の『感電』がかかるタイミングもすばらしい。

「ハケンの品格」(日本テレビ)
●中園ミホの、相変わらずチカラ強い脚本! そして、それを強化するような篠原涼子の演技! デフォルメされた演技が現実の派遣の問題をユーモアに変換させてくれる。

■話題になった番組
リモートドラマ「Living」(NHK総合)
●坂元裕二の描く、現実と虚構の淡いがぼんやりとした台詞がたまらなく響いた。新型コロナ禍で先の見えない世の中でも見えないなりに希望は持てることを感じた。

土曜時代ドラマ「雲霧仁左衛門4」 (NHK総合)
●シーズン4は天一坊の物語と思っていたら、中盤でまさかの処刑。不遇な人生の逆転を図ろうと金儲けの道具に甘んじながらも、まっすぐ生きようとする天一坊を永山絢斗がど直球に演じていて引き込まれました。

土曜ナイトドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日)
●1980年代から連ドラを見ていた者としてはオマージュという名の小馬鹿にした感の比重が絶妙でした。お洒落に作ることもできたでしょうが、このテイストにして、視聴者が付いてくると判断したそのセンスも凄いです。

ドラマスペシャル「スイッチ」(テレビ朝日)
●坂元裕二脚本らしいテンポのある会話や主たる事件が本筋ではなく、被害者が実は加害者でもあったという展開が良かった。あのラストなら続編も期待できるか。

「探偵・由利麟太郎」(関西テレビ)
●吉川晃司さんに惹かれて見始めたら、おや?あちこちに同局の「シャーロック」の香りが(笑)。でも嫌いじゃありません。吉川さんには渋さマシマシでいってほしいです。

連続ドラマW「太陽は動かない THE ECLIPSE」(WOWOW)
●最近の日本のドラマにはないような設定で最後まで興味深かった。WOWOWは挑戦的な、個人的にとても興味を持つ内容のドラマが多いのでこれからも継続してほしい。

ストーリーズ「あのとき、タクシーに乗って〜緊急事態宣言の東京〜」(NHK総合)
●緊急事態宣言により人が出歩かなくなった街で、さまざまな理由でタクシーに乗る人たちのリアルが垣間見えた。「お客さんが喋りたがっている」。コロナ禍で分断された人々が、やはり会って話すことをどこかで望んでいるのが伝わるシーンだった。

NNNドキュメント’20「封印〜沖縄戦に秘められた鉄道事故〜」(日本テレビ)
●沖縄戦の様相を一変させてしまっていたような隠された大事件。当時の国家の箝口令の凄まじさに慄然とし、また「国は護れど民は守らず」の軍国主義の残酷さに改めて思いをいたした。これぞ歴史検証報道の真価。

ゴッドタン「アンガールズ田中の勝手にお悩み先生」(テレビ東京)
●相談者の自分で気づかない自分の悩みについて、ズバッと解決策を提案する。芯を捉え過ぎていて痛快で何度でも見たくなる。この企画またぜひ見たい!

「志村友達大集合スペシャル」(フジテレビ)
●コロナ禍において一番の衝撃ニュースだった志村けんさんの訃報。日本中が寂しさを感じたのではないか。その功績は計り知れないほど大きく、色あせない笑いをお茶の間に提供してくれた故人の功績を称えたい。

テレメンタリー2020「良心の実弾〜医師・中村哲が遺したもの〜」(九州朝日放送)
●中村医師の無私の偉業に対して、死をもって応えるほど、暴力に蝕まれた人間の心は堕落してしまえるのだという現実に心が痛みます。どうか世界中から武器による暴力がなくなり、人が人たる幸福感と誇りを持って暮らせる世が来ますように。

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★「GALAC」2020年10月号掲載