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【今月のダラクシー賞】-「GALAC」2020年7月号

笑えぬドッキリ 不快くっきり
「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP 今夜限定㊙新作まだあるよ完全保存版!」
(フジテレビ 5月16日)

桧山珠美

スポットCMの段階で不快指数80はゆうに超えていた。ウエンツ瑛士に爆発ケーキを仕掛けられ、顔面ケーキまみれになった泉ピン子が鬼の形相で「舐めんじゃないよ、こっちはお前が生まれる前から芸能界に居るんだよ」と凄む。その場面を何度も何度も見せられ、不愉快きわまりない。番組ならば見ないという選択肢もあるが、ふいに流れるCMだとそうもいかない。
だったら本編を見なければいいのでは、と思う人もいるだろう。が、こちとら昨今、街に蔓延る自粛警察よりもずっとずっと前からテレビ番組をパトロールしているわけで、目の前にある不快臭プンプンの番組を放置するわけにはいかないのだ。
というわけで番組を見たが、予想をはるかに上回る出来で不快指数MAX。そうでなくてもこのご時世、何かとギスギスしがちで、せめてテレビだけは嫌なことや辛いことを忘れさせてくれる存在であってほしい、という願いも虚しく、ふつふつと沸くのは怒りのみだ。
例えば「猫島のネコたちに高級魚をサプライズ!」という企画では、高さのある疑似防波堤を作り、片方に5000円もする大トロの塊を置き、猫をジャンプさせてその飛距離を伸ばしていくという悪趣味なモノ。これのどこがドッキリなのか。大トロ目がけて必死にジャンプする猫が可哀想過ぎる。いくら身体能力の高い猫とはいえ、誤って落下し怪我でもしたらどうするつもりだったのか。
もうひとつ。アップアップガールズ(仮)というアイドルグループのひとりが仕掛け人になり、ファンからもらったDVDだと言ってみんなで見ると、そこには自分の部屋が映っていて仮面をつけた侵入者がベッドの下に潜んでいるところに、本人が帰ってくるというもの。侵入者の謎のカウントダウンの後、テーブルの下から、その侵入者が飛び出て、メンバーがパニックになるというものだが、この手のドッキリはただただ気持ち悪いだけで、ちっとも笑えない。
例の泉ピン子は、ドッキリを仕掛ける側のウエンツが実は逆ドッキリを仕掛けられるというパターンだったのだが、そうとわかるまでの顔面蒼白なウエンツが気の毒過ぎる。
今回は総集編ということで、これらの番組は過去に一度放送したもの。それをまた出したということはよっぽどの自信作ということか。子どもの頃に見た「スターどっきり㊙報告」には大笑いしたのに、こんなにも笑えないドッキリって……。コラおじさんに叱られろ、ということで今月のダラクシー賞を贈る。

~著者のつぶやき~
私のお気に入りドッキリは若山富三郎と清川虹子が結婚することになったというもの。ご祝儀が少ないと安岡力也にキレる若山の迫真の演技は凄かった。それに比べて昨今のドッキリはスケールがショボイ。

★「GALAC」2020年7月号掲載