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【今月のダラクシー賞】-「GALAC」2020年6月号

新型コロナで、テレビが動画紹介所に!
「バゲット」
(日本テレビ 4月14日)

桧山珠美

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレビがドえらいことになっている。ドラマは撮影休止でスタート延期を余儀なくされ、バラエティも総集編だらけになってきた。もとより昨今のバラエティは、経費削減に余念がなくひな壇トークや街歩きロケにうつつを抜かしていたが、ひな檀ダメ、街歩きダメでは万事休す。当面は制作休止に舵を切った局も出てきた。
さすがに生放送の情報番組やニュースはそうもいかず、毎日毎日、ネタがあってもなくても、忍び寄る新型コロナの恐怖に怯えながらも、番組を放送し続けるのはさぞやキツいことか。現場はてんてこ舞いだろうと察する。
が、だからといって、放送すればいいというものではないのだ。仮にも公共の電波を使って全国(この番組は東京ローカル)の視聴者に届ける番組なのだから、制作者としてのプライドを持ってほしい。たしかにこのご時世、情報番組の柱ともいえる芸能情報は会見中止で壊滅状態。その穴をどう埋めようかと頭を悩ませているのはわかる。が、それを動画で補おうというのはあまりにも安易。貧すれば鈍す、だ。
例えばこの放送は「おうちで楽しむ無料配信動画大特集」と称して、東京ディズニーランドのショーやサンリオピューロランドのキャラクターたちが館内を掃除する動画を紹介していたが、各公式ページにこの動画がアップされたのはもう何週間も前のこと。以後、さまざまな番組で紹介し倒していたもので、正直、「またこれか」と溜息が出た。
この番組に限ったことではないが、あらゆる情報番組は動画に頼り過ぎ! 星野源の『うちで踊ろう』など、もう夢でうなされるくらい見せられた。そりゃ某首相も人気があると勘違いして乗っかってくるわ、だ。ジャニーズの手洗いとか、杏の弾き語りとか……。いつからテレビは動画の紹介所になったのか。この日は、日テレ公式動画にあげたアナウンサーたちの早口動画も紹介していたが、なぜそれを動画ではなく、番組で放送しないのか不思議でならない。
さらに残念なことに、このときバックに流れている音楽のテロップが出ているのだが、それが「民法共同企画“一緒にやろう”応援ソング♪SMAILE~晴れ渡る空のように~/桑田佳祐」となっていた。民法って……。テロップもまともに出せないっていよいよ大丈夫か!?
頼みのオリンピックもどうなることやら。新型コロナの終息より前に、テレビの息の根が止まるんじゃないかと心配しつつ、今月のダラクシー賞を贈る。

~著者のつぶやき~
リモート会議で汚部屋を片づけるも埒が明かず。キセキの角度を必死でさがす日々。

★「GALAC」2020年6月号掲載