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【今月のダラクシー賞】-「GALAC」2019年12月号

人選も方向性もグッとこない?
「グッとラック!」
(TBSテレビ)

桧山珠美

 カレーを食べたとしよう。カレーも美味しいが、なんといってもこの福神漬が最高!だったとして、では、その福神漬を丼一杯食べられるかと言えばそれは無理な話。どんなに美味しくても福神漬丼など御免被りたい。

 というわけで、10月スタートの「グッとラック!」。福神漬……じゃなかった立川志らくがMCを務める朝の情報番組。始まる前はたしかそういう触れ込みだったが、蓋を開けてびっくり! 実際に仕切るのは国山ハセンアナで、志らくはどう見てもコメンテーター扱い、「アッコにおまかせ!」のアッコ状態だ。そういえばハセンは「アッコ」にも出てたっけ。「アッコ」で培ったプレゼン力を今こそ発揮するぞとばかり、喋って喋って喋りまくるハセン。これでは「グッとラック!」ならぬ「グッとハセン!」だ。前からアメリカの腹話術人形(蝶ネクタイのやつ)に似ていると思っていたが、喋り過ぎて、いつか頭がクルっと360度回ってしまうんじゃないかとヒヤヒヤする。

 それはともかく、ワイドショーにつきもののコメンテーターも、たまたま赤坂を歩いていた通りすがりの人を連れてきたんかい?というような人たちばかりで、顔と名前を覚えるのに必死で、コメントが耳に入らない。

 情報番組の批判で、「どの番組もタレントや芸人、同じコメンテーターばかりが出ていてつまらない」というのがある。そのアンチテーゼの人選だとしても極端過ぎやしないか。ワイドショーを見ているのは主にご年配だ。フジテレビ「とくダネ!」の古市憲寿だってようやく認知されてきたレベルなのに、20~30代の新顔コメンテーターを出したところで、聞く耳を持つだろうか。百歩譲って、若い視聴者をターゲットにするというなら、そもそも50代の志らくをメインに据えるのは間違いで、一番弟子のこしらにでもやらせればよかったのでは。初回から毎日拝見したが、見どころといえば、ライオンの生コマーシャルくらい。その昔、「奥さま8時半です」の頃からやっている“生コマ界のレジェンド”が変わらず出ていてホッとした。

 言いたいことは山ほどあるが、最もわけがわからないのは、志らくが「ひるおび!」のコメンテーターも続けること。TBSは何を考えているんだか。福神漬丼をたらふく食べさせられた後に、カレーの付け合わせにまた福神漬って。福神漬ゲップが出るわ。

 着物姿でニュースを斬るなら、ギター侍こと波田陽区でもよかったのでは。残念!ということで、今月のダラクシー賞を贈る。

~著者のつぶやき~
前号の「熊」のアクセントが違うと書いた件で、「熊」は平板で合っているとのご指摘がありました。「くまモン」も地元では平板だそうで……。勉強になりました。

★「GALAC」2019年12月号掲載